渡米1年を迎えて語る

今の生活は、夢か現実か? 渡米1年を迎えて語る・その1

駐夫です。

きょう12月10日、渡米してから、ちょうど1年が経過した。

渡米1年目の記念日。深夜、ひとりでワインを開け、お気に入りのバカラグラスで乾杯しているところだ。 実に感慨深い。喜びもひとしおだ。

1年の節目を迎え、数回に分けて、私なりの所感を記してみたい。

初回は、今の思いを率直につづる。

不安ばかりの1年前を思うと、丸1年の日が美酒になるとは想像できませんでした

海外暮らしに縁がなかった純ジャパであり、幼子を連れての主夫生活も初めて。そして、何よりも、バリバリ働いてきた最前線から撤退し、キャリアを大幅期間中断するということ。初めてづくしで、不安ばかりを抱えての渡米だった。

渡米前後の心境、状況、事実については、下記「日経DUAL」初回で書き尽くしたので、詳細はそちらに譲ることとする。

dual.nikkei.co.jp

いま、何よりも思うのは、今の米国生活、駐夫生活、主夫生活は、果たして夢なのか、現実なのか、、ということだ。

リアルライフに決まってるじゃないか、、と言われればその通りなのだが、日々楽しくなる一方の米国暮らし、働いていない気楽さ、ストレスからほぼ解放されている日々を思うと、夢のような暮らしなのではないかと感じる時が多々ある。

少なくとも、仕事をしていないという点では、ある意味、世の中から隔絶されているとも言える。もちろん、辛いことは多々あれど、毎日受ける刺激、新たに目にし、耳にするものに触れていると、楽しさ、気楽さがその辛さを数倍も上回る。ストレートに楽しいのだ。

渡米前、海外赴任or帯同から本帰国したことのある人生経験の先輩数人から「海外の日々は本当に楽しかった。まるで夢のようだった」との言葉を聞いた。これが、このまま将来の私に当てはまるのであろうか。

リアル生活は確かにとても充実しており、私は文字通り、リア充だろう。一歩間違っていれば、どこかでボタンを掛け違えていれば、いまごろ、ひとりで帰国していたか、アメリカ生活の愚痴を連日、妻にぶつけ、子どもに八つ当たりもしかねない、不満たらたらのダメ人間になっていたかもしれない。そうならなくてよかった、本当に笑

幸いにして、20数年培ってきた文才がここまで使えるとは、正直なところ思っていなかった。おかげさまで、複数の媒体からお誘いをいただき、社会とのつながりをキープするどころか、日々の思いを発信し、ありがたいことに反響をも頂戴している。米国ライフで得られるインプットを、記事を書くことでアウトプットする場があるなんて、本当に幸せだ。並びに、SNSも駆使しており、そちらでの情報発信も大いにストレス解消になっている。

夢の話を現実に落とし込んで書いているか、現実の話をファンタジーで記しているのか。本帰国後の自分が米国滞在中に書いた記事を読んだら、どういう思いになるのだろうか。本帰国後のリアル生活とのギャップに苦しみ、「やっぱり夢だった」と振り返ってしまうのだろうか。

親の勝手な都合で、訳の分からないまま、地球の反対側までいつの間にか連れて来られ「ここが今日からの新しい家。あそこが新しい幼稚園だよ」などと一方的に通告された子どもたち。彼女、彼らが海外で逞しく、生き抜きながら成長していく姿を、こんなに間近で、しかも毎日見られるなんて、それも夢のような生活だ。夢と思わせる理由のひとつに挙げられる。

疲れ切っているときなど、時折鬱陶しくなるが(すまない)、「パパぁ、パパぁ」と二か所から、二重奏で呼ばれ、頼られる喜び、嬉しさといったら、他に比肩するものはない。この子達を、なんとしても守らなければいけない、という父親としての強い使命感を惹起させてくれる。

先日のブログでも触れたが、11月下旬、フロリダ・オーランドのウォルト・ディズニーワールドに1週間遊びに行ってきた。まさしく、そこは夢の国、おとぎの国、ファンタジーの国だった。十二分に遊び倒した後、NJの自宅に戻ると、一気に現実の世界に引き戻された。瞬時にして、魔法は解け、夢は覚めた。外食続きのフロリダと比べ、自宅でごはんを作っている際、リアル生活そのものを痛切に感じた。そこには、はっきりと、現実と夢を区切る自分なりのラインがあったと言えよう。

夢の世界・ディズニーにも、そこで働く人々ら、リアルの世界に生きている人は当然ながらたくさんいる。ふと数日間訪れるゲストにとっては夢であっても、彼、彼女らにとっては、現実だ。生活の糧を得るために、暮らしているのだから。

同様に、米国で長年暮らしている人々、あるいは駐在員として働く人々にとっては、米国ライフはリアルの世界である一方、数年間良いとこ取りだけで刺激あふれる生活を満喫する私のような人間にとっては、現実でもあるが、夢でもある。

かくして、私の今の生活は夢なのか、現実なのか?

あらためて考えてみたが、夢8割・現実2割ぐらいの案配だろうか。

夢はいつまでも続くはずがない。とはいえ、現実だけでも疲れる。日本での現実すぎる暮らしに疲れ果てた私に対し、降ってわいてきた妻の米国赴任の話は、夢世界へのお誘いだったのか。

いずれにせよ、帰国後の話は、あえて細かく考えないようにしている。なぜなら、夢から覚めてしまうから。現実ライフで生き抜いている妻には申し訳ないが、もうしばらく8割の夢ライフを楽しませてもらうことにする。

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