駐夫です。
自粛生活スタートから、10週目に入りました。
何とも、ここまで続くとは、、という思いですが、今回は少し趣向を変えて、私が定期購読している人気雑誌「ニューヨーカー」の表紙から、この3か月弱を振り返ってみます。
非常に影響力のある雑誌です。表紙を見れば、NYで何が起きているのか、ニューヨーカーの最大の関心事は何か? が分かります。
表紙担当の編集者、フランソワーズ・モーリー氏は1993年から、この仕事をしているとのことです。表紙号数の、だいたい1週間前に編集されているようです。
こちらのサイトに、氏の意図、思いがすべて掲載されてます。(以下、すべてサイトを参考に、だいたいの表紙を描いた日を特定)
https://www.newyorker.com/contributors/francoise-mouly
左のサルは、2月10日執筆。米国は、まだ平和な頃でした。
右は、ブルームバーグ元NY市長。大金をはたいて、米大統領選の民主党候補レースに参戦しましたが、退散を余儀なくされました。今、思えば、平和な時代でしたね。これが、2月20日。
左は、言わずもがな大統領。ウイルス禍は、これが初登場ですね。「我々の対応は完璧だ」などと根拠もなく語ってた頃です。2月27日。西海岸には既に上陸してました。
右は、イスラエルのアーティストに関連したもの。3月9日。NY、NJに感染者が出た直後ですが、全体的に、緊張感はそれほどありませんでしたね。
左は、すっかり無人となったNYの象徴・グランドセントラル駅です。差し込む日差しが、もの悲しさを助長していますね。3月20日の作。ちょうど、外出禁止令が出される直前です。
この間、最も衝撃を受けたのが右の表紙です。病院で、スマホに写る家族の写真を見ながら、懸命に働く、女性医師or看護師を描いています。当時の病院は、戦場さながらと各メディアで報じられています。
深刻な被害に見舞われ、連日、殺伐としていた頃です。
感染の恐怖と闘いながら、使命を果たそうとするフロントワーカーの皆さまの心境はいくばくなものでしょうか。
彼、彼女らに対しては、最大級の敬意を表します。モデルが女性、写真の家族が、パパとお子さんたちというのも、米国らしいですね。3月30日作。
在宅勤務が命じられ、ほとんど人気がなくなったNYの街で働くのは、必要不可欠な職種・エッセンシャルワーカーの皆さまだけです。左は、郵便配達の人でしょうか。早朝、暗闇の中のカットを描いてます。4月6日。
右は、4月13日。タイトルは「After The Shift」。シフト勤務を終えた医療従事者の男性が、地下鉄の駅でコーヒーを手に座っています。仕事を終え、帰宅する途中でしょうか。緊張から解放されつつも、シフトが始まれば再び、緊迫した病院に戻らなければいけない表情を切り取っています。
左は4月20日のもの。NYのアパート街を中心に、連日午後7時から数分間行われている、エッセンシャルワーカーの皆さんに賛辞を送る瞬間を描いています。拍手、指笛、ベルなどを使って、一斉に窓から音が鳴り響く映像は何度か見ましたが、感動的です。
右は、久々に明るい色彩のタッチ。NYの街並みカットを並べたものです。NYのシンボルを描きながらも、すべては非日常の光景。手袋の絵など、ウイルス禍関連のイラストもあります。
左は、自宅待機が続き、外出できない中、窓から春の訪れを眺めています。逞しい動物たち、植物たちはものともせず成長しています。信号機の上に巣をつくる鳥の往来を見ていると、心も和むことでしょう。5月4日。
最新号の右は、5月11日。米国は、卒業シーズン真っ只中です。タイトルは「Class of 2020」。卒業式もできない、できてもオンライン。苦しい勉強を終え、解放感に浸り、騒ぎ、そして、それぞれが新たな道のりに進んでいくイベントが行えないないような日が来るとは、誰が想像したでしょうか。